シリーズでお送りしている不動産奮闘記。前回記事の続きです。
30年もの長期ローンを組んで何千万円もの新品の家を買うのがいまいちしっくり来ない雪山田夫妻は、築古の中古戸建てを手に入れてセルフリフォームして暮らそうとしています。
http://suumo.jp/edit/iewohiraku/jitsurei/room09/
記事概略
- 築古中古物件を不動産屋にいろいろ見せてもらった
- 住宅診断、不動産価値の査定とかをいろいろやってみた
- 業者の言い値は信じず、市場の実態をリサーチして交渉に臨む。
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ネットで下調べをして不動産屋を訪問。
インターネットで地元の不動産屋のサイトを調べ、手が届く範囲の中古物件が多く紹介されている不動産屋にとりあえず入ってみました。
やはり実際の店舗に足を運んでみるもので非公開物件もしっかり取り扱っていました。ネットで紹介されていた物件+αを早速4件ほど見て回ります。
値段相応なものはやはり理由がある。高齢化社会のリアル
現地を見せてもらったのは、売りに出されてる物件の中でも最安ランクに位置する物件ばかり。どれも最初の印象がおっかない!
例えば・・・
- 薄暗いTV部屋にぽつんと1つだけ置いてある座椅子。晩年はおばあさんが一人で住んでいたとのこと
- 西洋人形が飾ってある客間。怖いよ!
- おばあちゃんが晩年一人で住んでいたという無駄に広すぎる家。施設に入ってしまったので家を使う人がいなくなったとのこと。
- 周りの住宅の日陰にもろに入ってしまい、なんとも薄暗くてカビ臭い家・・・
etc・・・
田舎の高齢化のリアルワールドを垣間見たのもあって、人様の家にお邪魔するというのはなかなか抵抗が拭えませんね(汗)。
築35年で中身がとても奇麗な物件に出会う。
そんな中、800万円代(←仮の値です)でまあまあ良さげな物件が1つありました。
最大の目玉はバス、トイレ、洗面台がリフォーム済みということ!ちゃんと庭も付いているというレアな条件のお家です。
4DKと広さ的にはちょっと持て余すものの、重大な瑕疵さえ無ければポテンシャルの高い物件です。
目当ての物件の情報収集。住宅診断と不動産評価
前職の経験を活かして、各種情報収集を進めます。
最寄りの法務局へ行って権利関係を確認
法務局では、不動産登記簿、公図を取得します。それぞれ数百円で入手できます。
意外と知っている人が少ないと思うのですが、権利関係(借金のカタになっていないか)や、土地の境界がはっきりしているか(隣地トラブルの元)などが事前に確認できるれっきとした制度なんですよ。
結果、確かに売り主と思われる人の所有になっている点、土地に赤道(昔の公道みたいなもの)が入り込んでいる。ということが分かりました。
※赤道に関しては、自治体によって対応がまちまちなので何ともいえないのですが、経験上「整理する気のない自治体」であれば放っておいても差し支えなさそうな気がしています(あくまで個人の意見です)。ただ、自分の土地と思っていたところに人の土地が混ざっているのは気分が良く無いですよね。将来的には道路沿いをうっすら切り売りして土地のど真ん中にある赤道と交換する・・・という可能性もなきにしもあらずです。
知り合いの建築士に簡易な住宅診断を依頼
職場のツテを辿って、建築士の資格を持っているTさんに住宅の簡易診断を依頼しました。(もちろんお昼ご飯代+αの心付けを添えて)
コンクリートの基礎を叩いて空洞をチェックしたり、水平器で傾きをチェックしたり、床下を覗いて腐食が無いかを確認してくれました。
専門家ってホント頼りになります。
結果、築年数を考えると妥当なラインであることが確認できました。
心配していたシロアリも「この築年数でシロアリ被害に遭っていたらとっくに倒壊している。躯体は年相応にしっかりしている」とのこと。
あとは内部がどうなっているか・・・ということで、さらに専門の建築士の方を紹介していただき、不動産屋さんと一緒に中を見てみることにしました。
日を改めて、別の建築士Sさんと不動産屋さんとで現地確認を行います。すると最初は見えなかった色んなボロが・・・
- 一部天井に雨漏りのシミが。よく見ると周辺の天井のボードを交換しているが、また再発しているようなシミが→不動産屋「あれ、気づかなかったな・・・」
- 土地境界はどうなっている?→不動産屋「ほんとですね。通常杭があるはずなんですが・・・」
- 築年数から、当然旧耐震基準の建物で、現在の耐震基準は満たしていない
等々、いろいろと新しい事実が発覚してきます。
ちなみにこの建築士のSさん。1級建築士で地元の工務店の専務さんです。
空き家法の施行に伴い、Sさんの会社としてもインスペクション(住宅診断)を事業として始めようとしているところらしく、先方にとっても渡りに船とのことで「私の勉強の意味合いもありますので」と、格安(心付け程度)で簡易な診断をしていただけることになりました。
・・・さて、色々と突っ込んで聞くほど不動産屋もぼろが出始めますね。
ここで分かった教訓は「ビジネス(契約ごと)なので遠慮なくどんどん聞くべし」ということ。
現場見てるプロが「あれ、気づかなかったな。」なんてことはナシだと思うんですよね。
現場見ずに捌く仕事の仕方をしてるってことだな。と私はこの不動産屋のことを受け止めました。素人の人は完全に舐められてますよ。
最初はカモがきたとばかりに低調な姿勢だった不動産屋も次第に態度がシビアになりだすのを感じ「購入申し込みは新着順なので、あまりのんびり構えていると取られちゃいますよ。」との定番トークを発してきますが、こちらは焦る必要がないので話半分に聞いておきます。(結局この後半年ぐらいずっと売り出し中だった)
土地の価格をリサーチ
現地確認と平行して、本当にその売り出し価格が妥当なのかを調べてみます。
国税庁のHPに全国の「路線価」というものが毎年公表されているのはご存知でしょうか?
財産評価基準書|国税庁
法規制の関係で、住宅は必ず道路に面して建てられないといけないことになっているのですが、その道路(通り)に面した土地の価格が確認できるというもの。
このように、売りに出されている土地の面積とこの単価をかけ算することで、土地のおおよその相場が確認できるのです。
財産評価基準書 路線価図説明|国税庁
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イメージしやすいように仮の値を添えてみると
土地面積=200平米、路線価=30,000円/平米 だったので、600万円の土地値という試算です(←あくまで仮の数字ですよ)。
実際には市場の需要と供給のバランスがあるので、この価格よりも何割か高値で取引されることが一般的のようです。路線価はあくまで基準値として捉えるのが吉ですね。
銀行に担保能力を確認する方法
また、別の方法でも裏付けを取ってみました。知り合いの銀行員に「この物件をフルローンで買う場合、おたくの銀行はいくらまでお金貸してくれる?(=この物件の担保能力はいくら?)」と質問をしてみます。こうすることで、さらに実態に近いリアル価格が掴めます。
どうやら銀行も路線価をもとに担保をはじき出すらしく、結果は、、、
- 土地…路線価×平米×係数(銀行によって違うらしい。仮で1.25)=750万円
- 建物…0円(木造の耐用年数22年をとっくに超過しているとのこと)
これだけ分かっただけでも十分大きな収穫ですね。
あとは、バス・トイレ・洗面台のリフォーム代を簡単に見積もってみます(これは銀行では担保の査定対象外だった)。=大体40万円ぐらい?(約50万円×11/15(※))
※国税庁の法廷耐用年数を調べることで簡単に計算してみることが出来ます
リフォーム後4年が経過していたことを加味して、耐用年数で割り算します。
建物付属設備(給排水・衛生設備、ガス設備)=15年
耐用年数(建物・建物附属設備)
合計すると790万円ということで、あながち売値もおかしな価格ではない様子。。。土地値だけ見れば十分交渉の余地は残されています。
この後、地価下落リスクや、修繕リスクなどを加味して、価格交渉に臨むこととします。
つづく
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